T) ある疑問 と ある思い
「レゾが本当にゼルを愛していたのなら、ゼルを壊せなかったはず。 」
「自分がたどった荊(いばら)の道をおまえもたどれというのは、大人のすることじゃない。」
「ひっくりかえったおもちゃ箱」(山本鈴美香のマンガ)は、若くてステキな義理の父と14歳の主人公のラブストーリー。
ヒロイン の 義父のセリフ
「子は親に『再婚しないでくれ』と言えるが、親は子(娘)に『結婚しないでくれ』 とは言えない。
つつむ愛(親の側)と 求める愛(子の側)の違いだな」
それでいうと
子どもは親に 『どこにも行かないで ずっと一緒にいてね』と言えるが、
親は子どもに 『どこにも行かないで ずっと一緒にいろよ』と言ってはいけないもの。
美鈴(ヒロイン)の義父はそれがわかっている大人の男の人。
しかしレゾは言って、いや実行してしまった。だから彼は、魔法という大人の力を持った子ども 。
あるいはまた
「F式アメリア」での、がけっぷちで肉親を助けるか恋人を選ぶかの二者択一のモトネタは、里中満知子の「明日輝く」 (戦後編)の挿話。
ヒロイン(明日香=あすか)は自分だけ血のつながりのない家族(母と妹)と暮らしている。
明日香は義理の家族だと知っているぶん、「いいお姉さんでいなければ」という思いが強く、働いている義理の母に代わって妹の面倒をみていた。(自分は妹に対して過保護だったとあとで反省するくらいに、やさしいお姉さん。)姉が養女だと知らない妹(未来=みき)は、姉に対して遠慮がない、わがままで甘えっ子。
高校生の姉にBFができて、不安にかられた小学生の妹はある時、姉に聞く。
「がけっぷちで××君(姉のBF)と自分が助けを求めていたら、どちらを助ける?」と。
姉はあたりまえというふうに答える。
「 そりゃ未来を助けるわよ。××君は自分でがけを登るから」と。
妹は怒って
「もし××君が谷底に転落したとしても、絶対に絶対に、私(妹)を助けにくるのよ!!」
と 姉に約束させる。
その後、やさしいお姉さんであるヒロインは(妹の言葉どおり)恋人よりも、家族を優先することを選び、彼とは別れることになる。
小学生の妹は相手(姉)の幸せより自分の幸せを求める子ども
こんなのは愛じゃない。愛じゃないかもしれないけれど。
(F式で何故「ゼルを助けたあとに一緒にとうさんを…」という発想が出てきたのかは、我ながら不思議。アメリアという強烈なキャラクターゆえだと思う。)