レゾは 祖母の語ったおとぎ話が、きらい。
「なんとかと魔法のランプ」の話を、レゾは好きではない。
主人公に仕える魔法使いは、その力を彼自身のために使うことはできない。
ひたすら他人の命令に応えるための チカラ。
主人公に忠実な下僕である魔法使いは、
自分のチカラを自身の望みためには使えないように、いさめられた存在だった。
魔法使いは、遠い昔、世を荒らした悪者だった。
他人への慈悲も思いやりもなく
自分の力を自分のためだけに駆使していた。
時の賢者に懲らしめられて、その力を自分のためには使えないように封印された。
贖罪のため、他人への奉仕のためにしか、その力を使えないようにされた。
ランプの中に閉じ込められ、呼び出されるのを待つ。
歳をとることも許されない。
贖罪が終わるその日までは。
( あといくつ、他人(ひと)の望みをかなえたら、
自分の力を自分のために使うことが許されるのだろう )
(他人の目を開かせることはできても、自分の目を開かせることは許されなかったレゾ)