その7       「 心 」 と 「 身体 」 みちくさ                                          

 1)「岩の身体」というメタファー 

ゼルのテーマ曲は‘I am a Rock’(Paul Simon 作詞・作曲。サイモンとガーファンクルの歌)
30年くらい前の歌で、人の孤独と悲しみを歌った秀曲(だそうだ)。

「岩は痛みなんか感じない」

そんな歌詞を読みながら思った。
ゼルの「岩の身体」は、耐えられない痛みから逃れるために「岩と化した心」の象徴?
(岩になった「心」は痛みを感じないですむ)
もしくは、「岩」は傷ついた心をガードする壁,殻のようなものだろうか

冷たい岩のような心も太陽が照らせば温まることができる
だから、アメリアのテーマ曲は「明日にかける橋」 (「ゼルに」架ける橋)

この2曲とQP/DIANAさんの『黄金の心臓を探して』というタイトルのもとになったニール・
ヤングの歌
"Heart of Gold"の「 歌詞とその和訳 」を読みたいというかたにはメールでお送り
します.。
(HPに歌詞などを掲載するのは控えたほうがよいので、ご一報ください)




2)「皮膚は心の状態の鏡」

と、今日びの東洋医学や心身医学で言われているそうだ。

(以下、引き写し)


”深層意識の状況への不適応(仕事や家庭への不満、不安など、意識では「やってやる」
「うまく
やれる」と思っていても心の底で「だめだ」と思っているような時)は、ジンマシンや
できものとして、
身体が表現することがある”                                                             

”心と肌はつながっている。資生堂の皮膚化学研究所で93年撮影された、表皮内にある
免疫を分泌する細胞(ランゲルハンス細胞)と神経細胞が結びついている写真は、大きな
反響を呼んだ。理論的には分かっていた脳(心)が分泌系を通じて肌に作用している事が
初めて実証された”

X (心) → Y (身体)

「体の病はすべて心の病に帰結できる」という見方は、私は好きではない。
それを推し進めると、花粉症も日ごろの心がけが悪いせい、身体障害は先祖の
悪因縁か
前世の報い、等の因果応報に行きつきそうでいやだ。                   

その逆の「心の病が身体の病にあらわれること<も>ある」という見方なら。
ストレスもガンの原因になると、今の社会で思わない人はない。

   ▽△▽▽△ 閑話休題 △▽▽△▽

Q.「夫婦ゲンカをすると、子どものアトピーが悪化する」と言われるのは、本当か
 
 (まさか、親の因果が子に報い…?)

A.そういう場合もある。


これは、ケンカする親の姿に心労を受けた子どもの身体が、心を鎮めるため、高ぶった自律
神経を
正常値に戻すほうに副腎のホルモン(だったかな?)を使ってしまい、その分、本来、
アトピーの発
生を押さえるために使われはずだった分が減ってしまうので、アトピーの発生を
おさえきれなくなる
イコール=「アトピーが悪化して」みえると説明できるそうだ。
                                  (…面白
い)

▽△▽▽△ ▽△▽▽△△▽▽△

「心の状態が皮膚の状態に表れる」(心身一如)というのは、まるで物語の隠喩のよう

おとぎ話では「姿」はその「心」を、醜い身体は醜い心を表すはずではなかったか?


「転石、苔を生ぜず」(rolling stone gathers no moss)とゆう諺は、”落ち着きのない
フリーターのような生活をしていると、一人前(苔の生えた石)にはなれないぞ”という
警告の意味だったのに、今は、”動き回っている方が、いつまでもさびつかない
苔むした大人にならない(きれいな石)でいられる”というふうに、
逆の意味で使われたりするように変化してるともいうから、そんなふうに

「醜さ」あるいは「病い」についての意味(受け取り方)も、変化してきてるのかな?

「ナウシカ」で、オープニングでは、村を飲み込む腐海が、エンディングでは
地球を浄化する機能を持った豊かな森として、意味が反転していたように。


私が ゼルの身体を「醜い」と感じないのは何故だろう? 

 魅力的に感じるのは何故か?

そこに「傷つけられた心」を感じるからだ


彼は癒えない傷を身につけている


つまり、彼は傷つくだけの感受性を持っている

彼を愛せずに誰を愛せよう





メモ



「我々がどんなに醜く強暴であっても、他の人間に受け入れられ、愛されることさえあるという
希望を与えてくれる。ベルは、死によってしか脱ぎ捨てる事の出来ない獣の姿となった魂に
救いを差しのべる処女であり、これは浄化と復活の寓話である」                   
                                                    『美女と野獣 そのテクストとイメージの変遷』より



「物語に本来備わっている隠喩的な力に気づく人々は、物語をもっとも深く
理解する
ことができる」 ( 同 )





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