さいらさんのファン小説『呪縛』のシーリーンとロボスを、拙作『Sick day』
『X'mas day』 に少し登場させました。 (レゾの娘シーリーンとロボスが好きなもので…)
そのお礼にさいらさんからいただきました。有難うございます!
『呪縛』はさいらさんの転倒坂うぇぶ学問所を御覧下さい         

『呪縛』ショートショート 
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二人が結婚して魔法医を始めたばかりの頃のお話。


二人で魔法医を始めて驚いたことがある。
彼女――シーリーンは白魔術のエキスパートだったということ。
流しで仕事をこなしていた頃に見た術のほとんどが精霊魔術か黒魔術で、
白魔術は「治癒(リカバリィ)」くらいのものだった。
以前やっていた ことがことなだけに、てっきり白魔術はあまり知らないもの
かと思って いたら、彼女はあっさりと言ったのだ。
「私の専門は白魔術だ。ほんとうは僧侶になりたかったんだ」
だが実際には魔導士になり、色のローブももらったという。その年齢も 聞いて驚いた。
「11の時にもらった。父は10の時に僧侶になったと聞いていたから、妙な
対抗心を燃やしていたな、当時は」
言われてロボスは思い出す。
彼女の父・赤法師レゾは裏ではいろいろキナ臭いことはしているが、表向きは
僧侶で、白魔術では並ぶ者なしのエ キスパート。娘で一番弟子のシーリーンが
白魔術に長けているのは、よ く考えなくても当然のことだった。
「じ、11ぃ〜? 俺だって13で早いって言われたのに(T_T)」
「ふふ、世の中上には上がいるということだ」
「でも僧侶になりたかったのに、何で魔道士学校行ったんだ?」
「色のローブが欲しかったんだ。僧侶だと皆、白だと聞いていたから、
 それではつまらないと思っていたんだ」
「ローブ…それだけ?」
「それだけだ。魔術は父に一通り教わっていたから、魔道士学校もスキッ
 プで卒業したし。――思えばあれが唯一、母が亡くなったあとに父が
 きいてくれた私のわがままだったな」
ロボスはだんだんげんなりしてきた。すご腕だと思っていたが、ここまで腕の
差を見つけられてはたまらない。
「…で、何色を貰ったんだ?」 「朱鷺色だ」
言って、シーリーンは服を指す。なるほど、そういえば彼女は朱鷺色を基調に
した服を好んで着ている。
「ロボスは?」
「…若草色」
もうすでになげやりで答えるロボス。
「あーあ、白魔術なら勝てると思っていたのになあ」
話をきき、実際の治療の様子を見ていると、どう見てもロボスよりレパー トリ
ーが多い。オリジナルの呪文の数も、決して少なくない。
「別に勝てなくたっていいじゃないか」
「そーは言ってもなあ、男のプライドってもんが」
 「ロボスは私のそばにいてくれる。私を大切にしてくれる。
 私にはそれで充分だ。私より魔術が優れていようがいまいが関係ない」
 ロボスは参ったという顔でシーリーンを抱き寄せた。
「ったく…。そう言われちゃかなわないよ」


「ちなみに、魔法医をやりたいと言い出したのはシーリーンのほう」だそうです。
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